自動車は年々進化しています。
いろいろな機能が備わってどんどん便利になっていきます。
最近では自動ブレーキやレーダークルーズコントロール(前の車と一定の距離を保って追従走行)といった安全に関わる機能から、パーキングアシストやハンズフリードアオープナーなど、あると便利な機能まで進化し続けています。
各自動車会社が競って開発している自動運転機能も数年で実用化されるでしょう。
このように自動車会社は毎年新車を発表して色々な機能を付加させています。
これほど目まぐるしく進化を続ける自動車はどのように開発しているのでしょうか?
開発までのプロセスは以下の手順で進められます。
- 企画・コンセプトの設定
- 車両デザイン
- 図面作成
- 金型製作
- 試作車両評価
- 正規型・正規行程製造
- 量産確認
- ラインオフ
企画・コンセプトの設定
プロジェクトの企画をしてどのような車を造るか決めます。
ここではまだアイディアの段階なのでざっくりとしたイメージになりますが、
どのような機能を搭載した車をどのようなお客様に販売したいのか、明確にターゲットを決めます。
この最初の段階でプロジェクトの方向性が決定します。
車両デザイン
企画・コンセプトをもとに車の外観を決めます。
外観のイメージがコンセプトに合ってないとターゲット層に興味を持ってもらえません。
若者に向けた車両であれば、奇抜なデザイン・先進的なデザインが好まれるでしょうし、
子育て世代の女性に向けた車両であれば、可愛く扱いやすい印象が伝わるデザインになるでしょう。
図面作成
車両デザインができたらその形を再現すべく各部品の図面を作成します。
シンプルなデザインは部品点数が少なくなりますが、デザインが複雑だと部品点数が多くなり、図面作成が難しくなります。
いかにして想像で描かれたデザインを形にできるかがポイントです。
大変格好良いデザインであっても、形にできなければ自動車として世に出る事はありません。
コンセプトカーのような1台しか作らない車両であれば何とかすれば作れますが、
量産する車両となると色々な制約がかかり、当初のデザインを変える必要が出てきます。
この時にデザイナーと設計者の意思疎通が重要になります。
量産品はどうしてもばらつきが出るため、ばらつきを加味した設計が必要です。
金型製作
図面が作成できたら部品や車体の金型を作ります。
量産するためには金型で大量に生産する必要があるので、その金型用の図面を書いて加工します。
この金型製作に約3〜6ヶ月かかります。
試作車両評価
まずは試作車両を製造して色々な評価をします。
自動ブレーキといった機能が狙い通りに作動するか確認します。
この時の部品は正規型で作られた物を使いますが、正規行程でない場合がほとんどです。
衝突性・耐久性・安全性・走行性・燃費・法規適合といった車に絶対必要なスペックが満足しているか、コンセプトに合った性能・機能が実現されているか、といった観点で評価されます。
性能が満たしていない場合に 原因解析→対策織込み を限られた時間でできるかが重要です。
正規型・正規行程製造
試作品と違って、正規の型・正規の行程で作られた物を使用して車両を作ります。
車両も正規のラインに投入して車両を製造します。
試作では正規のラインではなく手組みで造るため余裕がある中で作られますが、
正規ラインでの作業は部品の取り出しや導線に注意する必要があります。
ドアを開けると周りの設備に当たるという問題も発生するので、正規ラインに投入して発覚する問題を洗い出します。
量産確認
量産のタクトで大量に製造できるかを確認します。
タクトが決まっているため作業者の余裕が少なくなります。
作業をミスるとラインが止まるという緊張感もあり、作業のばらつき等も発生します。
実際に量産するスピードで製造して問題が起きないか見極めます。
ラインオフ
全ての確認ができたら晴れてラインオフ(量産開始)です!
これでようやくプロジェクトが完遂されました。
しかし、ラインオフから1ヶ月程度は油断できない状態のため、しっかりと品質が保証できているか確認します。
1.企画〜8.ラインオフ までは今までのやり方だと3年程度かかっていました。
しかし、中国企業の躍進もあり、1年〜1.5年で製造してしまう会社も出ています。
短期に開発できるとお客様のニーズに即対応できるメリットがあるので
どんどん開発期間は短くなっています。
企業努力を感じますね!
日本のモノづくりは自動車製造が一番大きいため、日本企業の更なる進化を期待します!
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