樹脂の3D加工(3Dプリンター)はかなり普及しています。
すでに個人で安価な3Dプリンターを入手で、YouTubeでも使い方を解説している動画も多数あり
知識が少ない方でも手軽に始める事ができます。
樹脂に比べると木材の3D加工はまだまだ一般に普及していないと感じます。
木材も3D加工する事ができますが、私たちの身近な物で3D加工された商品をほとんど見ないと思います。
木材の3D加工
加工機
木材の3D加工をするにはCNCルーターを使います。
CNCとは、コンピューターによる自動制御(=Computerized Numerical Control)のことで、
木工用工具のルーターが自動で動くようになった機械です。
単純にNCルーターと呼ばれてもいます。
CNCルーターは3軸〜5軸の可動軸があります。
下図は3軸の例になりますが、3方向に動く事で3D加工が可能になります。
さらに5軸になるとより複雑な形状を作る事ができます。
このような設備を使う事で木材を樹脂部品と同様な形状に加工できます。
加工方法
下の動画は実際にCNCルーターで木材を加工している様子です。
最初に粗削りでざっくりとした形に加工して、その後仕上げで細かいディテールを削っていきます。
一度に大量に削ると木材が割れたり欠けたりしてしまうため、少しずつ削っていくやり方です。
CNCルーターについては他の記事で詳しく説明していますのでこちらをご覧ください。
木材の特徴
木材は生物のため、樹脂材とは違う特徴があります。
- 方向によって性質が異なる(異方性)
- 樹種によって性質が異なる
- 同じ樹幹であっても部位によって性質が異なる
これらの特徴から樹脂部品とそっくり同じ物を作ることはできません。
細い形状を加工できたとしても剛性が弱いため簡単に折れてしまいます。
またCNCルーターで表面を削りながら加工していくため大変時間がかかります。
椅子の座面を加工するだけでも2〜3時間程かかってしまいます。
木材の3D加工は大変なため、デザインモックや試作品の木型のような
単価が高い製品でしかなかなか使われません。
趣味の木工で使おうとしても、使う木材の性質を理解して加工しなければならないため、YouTubeの動画やネットの情報を見れば誰でもできる訳ではありません。
木材の特徴については下の記事で詳しく説明しています。
木材加工の展望
私は木材を使って製品を作りたいと考えてしまいます。
木が生物である以上、自分が加工したい木をどのように扱えば思い通りの形にできるか
考えながら物を作る事が面白いと考えています。
木の個性に合わせて長く使われる製品に仕上げる事が職人の仕事だと思うし
私自身、そういう製品に出会えた時に感動を覚えるからです。
まとめ
今回の記事では下記の内容について解説しました。
- 木材の3D加工機はCNCルーターを使う
- 少しずつ削って加工する
- 木材は材質によって扱い方が変わる
これだけ技術が発展しても加工し難い材料なのに、家具や身近な道具としてあり続ける木材は
温かみや個性が人に似ているからかもしれません。
地球の豊かさを守るためにも木材を最大限に活用する事が重要だと感じています。
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